注文管理システムと連携する
「ブランド公式オーダーアプリ」を新規開発
1995年の設立当初から、デリバリー飲食店向けのオーダーシステム「宅配Evolution」を自社で開発し続けてきたリブオン・エンタープライズ株式会社。現在も「銀のさら」、「つきじ海賓」、「SALVATORE CUOMO」、「ピザ・カリフォルニア」など、デリバリー業界の多くのクライアントを支えています。
リブオン・エンタープライズ社では2021年、デリバリー注文サイトからの初回注文ユーザーをリピーターへと囲い込む「ブランド公式デリバリーアプリ」をリゾームと共同で企画・開発しました。
ブランドごとにアプリをゼロから開発するのではなく、デリバリー店に必要な機能を詰め込んでパッケージ化することで、従来は高額なアプリ開発費用を大幅に削減し、より簡単に自社アプリを導入できるようになりました。その導入コストの低さとデリバリーに特化した機能性から、直近1年間で「ピザ・カリフォルニア」や「つきじ海賓」を含む6社に採用されています。
現在ではリブオン・エンタープライズ社が長年培ってきたデリバリー業界のノウハウと、リゾームの開発力を活かし、リブオン・エンタープライズ社はアプリ独自の新機能の企画立案や導入提案を、リゾームはアプリの開発・運用を担っています。今後も「宅配Evolution」の導入クライアントを中心に、自社アプリの導入も加速する見込みです。
今回は、リブオン・エンタープライズ社で専務取締役を務める藤原様に、アプリ開発のきっかけと今後の展望をインタビューしました。
ピザ・カリフォルニア公式アプリ | App Store | Google Play Store |
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つきじ海賓公式アプリ | App Store | Google Play Store |
ピザ・サントロペ公式アプリ | App Store | Google Play Store |
ビッグベアーズピザ公式アプリ | App Store | Google Play Store |
アオキーズ・ピザ公式アプリ | App Store | Google Play Store |
ピザ・リトルパーティー公式アプリ | App Store | Google Play Store |
PIZZA SALVATORE CUOMO公式アプリ | App Store | Google Play Store |
業界黎明期から、
デリバリーに特化した開発ベンダーとして業界を下支え
リブオン・エンタープライズでは1995年の設立以来、デリバリー業界向けの注文システムの開発に取り組んできました。日本にデリバリー専門店が登場したのは、ドミノ・ピザが1985年に恵比寿に出店したことが始まりです。その後「ピザーラ」「ピザハット」をはじめとして、デリバリーピザが次々に生まれていきました。
当時のデリバリーはまだ若い業態であり、IT業界も黎明期でした。この時期には「パッケージシステム」という概念は存在せず、ドミノ・ピザを含む大手企業はオーダーメイドで基幹システムやPOSシステムの開発を依頼していた時代です。そこで私たちはデリバリーに特化した開発ベンダーとして創業し、「宅配Evolution」の前身となるパッケージシステムの開発を始めました。
当時、大手ベンダーに発注すると多額の開発費用がかかっていましたが、パッケージシステムであれば低コストで汎用的なデリバリーシステムを利用できます。弊社の主要顧客である「銀のさら」様も現在では300店舗を抱える有名企業ですが、当時、まだ2店舗しか展開されていなかった頃から弊社の「パッケージシステム」をご導入いただきました。
その後、「銀のさら」様での導入実績があったこともあり、他のデリバリー飲食店にも提案がスムーズに進み、幅広いクライアントに採用されるようになりました。
デリバリー業界の急成長によって、経営課題も
デリバリー業界は、2019年後半から大きな転換点を迎えました。それまでデリバリーピザや宅配寿司などのデリバリー業界は市場規模を徐々に拡大してはいましたが、UberEatsが2016年に日本に上陸した時点では市場規模は約3,770億円程度でした。これまで「飲食」といえば外食/イートインが中心であり、デリバリーの注文も電話注文が売上の多くを占めていましたが、2019年の軽減税率・2020年の新型コロナウイルスの影響によって、電話注文からインターネット注文に市場が大きく変化しました。
この変化に伴い、デリバリー業界の経営課題も生じました。UberEatsをはじめとするデリバリー注文サイトのオーダー手数料の増加がその一つです。イートインや電話注文であれば売上の全てを自社に計上できますが、デリバリー注文サイトを介して注文を受ける場合には、1件ごとにオーダー手数料が発生します。商品原価にオーダー手数料が加わってしまうため、注文数が増えるほど負担も大きくなります。しかし、昨今は「デリバリー注文サイトのラインナップから比較して選ぶ」ユーザーが多いため、サービスを利用しないと新規ユーザーを獲得することが難しい。その狭間で悩む経営者は増えていました。
徹底した「現場発想」で、
デリバリー業界の課題解決にアプローチし続ける
クライアントからはコロナ以前にも「自社ブランド専用のインターネット注文導線が欲しい」というご要望をいただいていましたが、弊社は店舗での受注システムに特化してきていたため、断り続けてきました。しかし自社専用のインターネット注文導線を外部ベンダーに発注するクライアントは年々増えていきました。
そのような中、インターネット注文の需要増加やクライアントの開発のニーズに応えきれない状況を打破し、今後もデリバリーシステムのプロとして、飲食店経営者や現場のお客様の課題を解決し、期待に応え続ける会社でありたい。その想いから、「宅配Evolution」と連携する新サービスの開発に乗り出そうと決めました。
売上の8割を占める「リピーター」の囲い込みに特化
それからは、お客様と一緒に企画立案の日々です。今回Webサイトではなくアプリの開発を選択した理由は、アプリならではのリアルタイム性と柔軟性です。通常、アプリは集客力の面でWebサイトに劣ります。ただしデリバリー業界では売上の8割程度をリピーターが占めているのに加えて、配達の際にお客様と対面で接点を持つことができる。新規ユーザーの集客と初回オーダーは既存のデリバリー注文サイトに任せたまま、商品配達の際にお客様にブランド公式アプリへの会員登録を促すことで、ユーザーの獲得経路は維持した状態でオーダー手数料の負担を削減できると考えました。
またリピート注文を増やす従来施策としてはチラシ配布やSMSでのクーポン配信を行っていましたが、会員数が増えるに連れて配布コストの増加やSMS開封率の低下といった課題が挙げられていました。対してアプリであれば、より多くの会員に、属性に合わせたクーポンをリアルタイムに配信することができます。会員との接点を増やし、属性に合わせた限定クーポンや新商品などの情報をコンスタントにお知らせすることで、会員の継続率やLTVの向上にも繋がると判断しました。
既存サービスに自社の開発メンバーをアサインし、
アプリは外部ベンダーに
アプリを開発すると決めたものの、課題は山積みでした。弊社はデリバリーシステムを30年以上開発してきたため、業務知識と基幹システムの開発には強みがあります。しかし、アプリ開発のノウハウは持ち合わせていませんでした。基幹システムとコンシューマー向けアプリとでは、開発技術もコンセプトも全く異なります。
さらに、「宅配Evolution」は現在、上海でオフショア開発しています。日本には主に設計チームが在籍しており、製造以降はほとんど上海で行っています。以前は人件費の面でオフショア開発にメリットがあったため、コミュニケーションコストを上乗せしても許容範囲内でした。しかし、最近では上海のオフショア開発コストが高騰し、国内よりも開発コストが高い傾向があります。そのためアプリの企画を含め、新しいサービスをオフショアでゼロから開発するのは難しいと判断し、外部ベンダーに発注することにしました。
リゾームを選んだ理由は、
真摯な姿勢とスムーズな契約交渉
ベンダー選定の際は、5~6社程度から提案を受けました。その中の1社がリゾームです。各社の提案金額はアプリ開発単体で約3,000万円、注文サイトとアプリの同時開発で最大7,000万円程度でした。提案をいただいた企業の中で、金額の面では大きく差はありませんでした。
リゾームを選んだ理由は、提案の真摯さです。提案の際には、リゾームの開発部門の役員である大塚さんが初回から打ち合わせに参加されました。 弊社の要望に対して実現できるもの、できないものをエンジニアの目線で正直に切り分けていく姿が印象的だったのを覚えています。
私自身が自社の営業を担っているため、同じ営業の方に対しては評価が厳しくなりがちですが、リゾームは営業担当を介さずに全てをエンジニアが担うスタイル。 エンジニアの責任者が実現可能性や代替案を誠実に伝えてくださったので、信頼できたと感じています。
役員が直接交渉の場に出てくれたことで、コスト面の落としどころをスムーズに見つけられた点も大きかったです。 弊社としては、クライアントに提案を掛ける前段階にも関わらず、高額な開発コストを一括で持ち出すリスクは避けたいと考えていました。 そういった状況を汲んでくださったこともあり、弊社とのレベニューシェアや、 個社ごとのサブスクリプション制を利用した形で合意することができましたが、 担当役員と直接交渉できたからこそ、円滑に契約に至ったと考えています。
契約前に画面デザインを元にアプリ構成を検討。
外部サービスの活用で開発コストを削減
開発の前段階として画面設計やプロトタイプの制作を先行で発注しました。この時点ではまだ機能の詳細やDB構成が固まり切っていない段階でしたが、弊社の既存顧客の注文サイトや他社のデリバリーアプリなどの構成や導線を踏まえて提案してくださったので、イメージはつきやすかったです。お客様にもプロトタイプを見ていただくことで、全体のコンセプトや処理のフローをはじめ、改善点を挙げていく際に役立ったのではないかと考えています。この当時のプロトタイプのデザインの一部は、そのままパッケージ版にも活用されています。
開発自体も、モダン技術を取り入れたことで、開発スピード・コストの両面でメリットを感じられました。言語にDart/Flutterを採用したことでiOS版とAndroid版を同時に開発できたのに加えて、Firebase Messagingでのプッシュ通知やStirpeでのオンライン決済など、外部サービスの活用で開発コストを削減することができました。
現在では弊社が営業サイド、リゾームが開発サイドを担当し、複数のお客様へ導入提案を進めています。個々のお客様に合わせた機能追加や改修などを行う場合も短期間・低コストでアプリをリリースできるため、導入ハードルの低さから既に5社のお客様にご導入いただくことができました。直近では新たにデリバリーピザチェーンの開発プロジェクトも進行中です。
今後も、デリバリー業界における弊社の強みと、開発会社としてのリゾームの強みを組み合わせて、デリバリー業界への価値を共創していければと考えています。
CLIENT | リブオン・エンタープライズ株式会社 |
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BUSINESS | 宅配飲食 |
FEATURES | 店舗検索、ネット注文、クーポン配信、会員ポイント、PUSH通知など |
PERIOD | 1年間(20人月/月) |
COST | 1,500万円~ |
TECHNOLOGY | |
URL | リブオン・エンタープライズ株式会社 公式サイト |